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刺し子は、癒しではない
布と自分が揃っていく現象だ

針を動かしていると、
乱れていたものが、少しずつ揃っていく。

それは布だけではなく、
自分自身のリズムや感覚も同じように。

整えようとしなくても、
ただ手を動かしているうちに、
ズレていたものが静かに収まっていく。

刺し子は、技術ではなく、
その状態が起きる「行為」だと考えています。

だから私は、
上手に刺すことや、きれいに仕上げることだけを
目的にはしていません。

布と向き合い、
針を通し、
そのときの自分と揃っていくこと。

その過程で生まれたものを、
作品として手渡しています。

作品は完成品でありながら、
その過程の痕跡でもあります。

整えられた布に触れることで、
自分の感覚もまた、静かに整っていく。

そういう関係が生まれることを前提に、
ひとつひとつ制作しています。

何かを満たすためではなく、
ただ、揃っていくために。

nuu.ne 西園智子